2012年7月9日月曜日

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ほしかった本、上田敏・訳詞集「海潮音」を買いました。

恥ずかしながら、今まで西洋詩なるものに手をつけたことがあまりなく、少しの戸惑いを持ってページをめくるものであります。

なんと明治38年の訳本。うちのおばあちゃんと同い年です。この装丁自体は昭和のものですが。

訳者前書きには、以下のように書いてあります。

「卷中收むる所の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亞に三人、英吉利に四人、獨逸に七人、プロワ゛ンスに一人、而して仏蘭西には十四人の多きに達し、曩の高踏派と今の象徴派とに屬する者其大部を占む。高踏派の莊麗體を譯すに當りて、多く所謂七五調を基としたる詩形を用ゐ、象徴派の幽婉體を飜するに多少の變格を敢てしたるは、其各の原調に適合せしめむが爲なり。」


うーむほとんど暗号であります。現代語に訳すとこうなるでしょうか。

「やあ、みなさんこんにちは。ご機嫌いかがですか?
今回訳詞集を出すことになったんですけども、本の中に収まっている詩は57個あって、作者は29人取り上げていて、そのうち、イタリア人が3人、イギリス人が4人、ドイツ人が7人、プロヴァンスってところの人が1人、それで、フランス人はちょっと多くって、14人もいるんですよ。
で、ほとんどの人が、昔の高踏派か、新しい象徴派っていうジャンルに分類できるんですよね。高踏派のちょっとかっちりしている文を訳す時は、七五調にしてみました。でも、象徴派のやわらか~な文章を訳すのにすこし形を自由にさせてもらっちゃったのは、それぞれの元の詩に雰囲気を合わせるためなんです。そういうわけですのであしからず、お楽しみくださいませ。」

何だか余分な文章がついたような気もするが、まったく注釈がないので読むのに手間取りそうです。

寝る前の楽しみの一つです。

わすれなぐさ

ながれのきしのひともとは、
みそらのいろのみづあさぎ、
なみ、ことごとく、くちづけし
はた、ことごとく、わすれゆく。

ウィルヘルム・アレント

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