2012年9月30日日曜日

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今日はお呼ばれして、ある医科大学(写真に載っちゃってるけど)の「口腔外科」出身という皆さんの同窓会のパーティで演奏させていただきました。

つまり歯医者さんのもうちょっと食い込んだ仕事とでもいいますか、いろいろな職業があるもので、まったく違う文化の中に紛れ込んだような気がしました。もちろんみなさん素敵な方々でしたが。


会が始まる前に、ある先生の活動報告のようなものがありました。

それは東日本大震災で亡くなられた、ご遺体の検案という仕事の報告でした。

遺体の損傷が激しかったりすると、最後には「歯」の治療痕などを見て本人確認するしかないのだそうです。そのために、静岡のチームが被災地に入ったのだということです。

先生は、最初は不安で怖かったけれど、自分の仕事は、一刻も早くこの亡くなった方々の身元を割り出して、ご家族のもとに帰すことだと思うことができた、とおっしゃっていました。

専門的な世界だけあって、スライドショーには生々しい遺体の写真もありましたが、その検案をする方々の姿を見て僕はさすがに感動を隠せませんでした。

このような人たちの活躍があって、初めて復興の礎が築かれるのかもしれないと思いました。

僕たちのほうは、いつもステージでにこにこ笑っているだけです。

ですが、そんな大変な仕事をされている皆さんが少しでも楽しんでくださったので、まあ許していただけるのではないでしょうか。


よく、そのようなパーティの余興などを頼まれることがあります。しかし大体そこにいる方々は、別に音楽を聴きに来たわけではないので、周りの人と積もる話がしたかったり、ご飯が食べたかったりして、ぜんぜん聞いてくれないこともしばしばです(でも、必ず横耳では聞いていてくれているのです)。

そんな時、僕は何のためにここにいるのだろう、と悲しくなることがあります。

しかし今日の先生の話を聞いて、では、自分(ミュージシャン)の仕事とは何だろう、とふと考えました。

お客さんに向かいあう時、その周りの状況がどうであろうとも、決して投げ出してはいけない仕事がそこにあるのです。

マイルス・デイビスは、お客さんにやじられて怒っているバンドメンバーに「Play through(演奏し通せ)」と言ったそうです。最後には10分も拍手が続いたとか。

ほんとかどうかは知りません。


演奏が終わって外に出ると、月にきれいな輪がかかっていました。僕は、空の上に流れている時間そのものを生きることはできないけれど、それに深く思いを馳せることができます。


僕たちの「Play through」とは何か。

今日はいつものそんな風な余興演奏よりもずっと、お客さんとつながることができたような気がしました。


今日演奏した曲の中に、「エノケン」が歌った「私の青空(My blue heaven)」という曲がありました。その参考音源を探していたら、とてもいい映像があったので見てみてください。

私の青空 榎本健一
http://www.youtube.com/watch?v=CT0ytkCtLK8


こんな文章が添えてありました。

Some Japanese singers sung "My blue heaven". I don't know why but sometimes I cry watching this video. They seem so amusing.

ちょっといいですね。

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