2013年10月25日金曜日

10/24 江戸の灯

先日、東京に住む伯父が亡くなったので、葬式に行ってきました。

正確には伯父ではなく父のいとこなのですが、近しい親戚のように仲良くしていましたので敢えて伯父と呼びたい人です。

伯父はかつて東京大空襲を生き延びて、人形の兜などの金物細工の職人をしながら浅草に暮らし、亡くなるまで戦争の「語り部」もしていました。

いつも親戚が集まると、東京弁の快活な語り口で話が始まるのです。

生々しい戦争の話、古き良き東京の話、それを横で聞いているのが僕は好きでした。

戦時中、うっかり宮様に話しかけようとして怒られた話(庶民は直接口を聞いてはいけなかった)とか、進駐軍の兵隊さんを偽物の銃で脅そうとした話とか、東京大空襲で九死に一生を得た話とか、いろいろな話が思い出されます。

ちゃきちゃきしてはらわたのない、まがいもない最後の江戸っ子。

その死に顔はとてもほっとしたような、やさしい顔でありました。

夜、隅田川を横目に見ながら渋滞の首都高をずーっと抜けて帰ると、何だか最後の江戸の灯が消えたような気がしました。


江戸っ子は皐月の鯉の吹き流し 口先ばかりではらわたはなし

でも伯父は人の悪口も言わない人でありました。

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